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温度制御対象の特性

原因 矢印 制御対象
矢印 結果

 私たちは初対面の人と話しをする場合、相手の性格も前もって知っていればスムーズに話しをすすめることができます。温度制御でも同じことがいえて、最適な制御を行うためには、制御対象の性質をよく知っておく必要があります。それでは制御対象の性質はどのようにして知ればよいでしょうか。 私たちが箱の中身を知ろうとするとき、箱をたたいてみたり、振ったりして内部の反応をさぐります。温度制御でも、制御対象の性質として“動特性”を問題にします。動特性を調べるには、それを少し動かしてみて、どのような動きをするかを確めて判定します。その方法に“ステップ応答法”“周波数応答法”がよく用いられます。



動特性と静特性


動特性と静特性の説明図


静特性 動特性
K/μ :ゲイン定数 L=ムダ時間 
T=時定数


 制御対象が入力を受けると影響を受けて、その結果が出力となってあらわれる動的パターンは、制御対象の特性によっていろいろあります。たとえば、お風呂の温度はガスバーナに点火すると徐々に上がって、やがて一定温度になりますが、お寺のつり鐘を叩けば“ゴーン”としばらく振動して、静かになっていきます。
 このように、ある現象の時間的変化によって制御対象の特性を示したものを動特性(dynamic characteristic)といいます。
 これに対して、バネの荷重と伸びの関係のように、一定値におちついた状態における入力と出力の関係を示したものを静特性(static characteristic)といいます。

動特性→過渡状態における要素の特性
静特性→定常状態における要素の特性




制御対象の信号関係


制御対象の信号関係について説明図

 上図は、温度制御系の制御対象に入−出力される信号の関係です。操作量(m)、外乱(d)制御量(c)の間の相互関係で制御対象を知ることができます。



ステップ応答法

ステップ応答法の説明図

 ある時間まで零で、その時刻からあとは他の一定値をとる入力をステップ入力(step input)と言い、ステップ入力による応答をステップ応答(step response)または、インディシャル応答(indicial response)と言います。

 ステップ応答は、バネはかりに計量物を載せた時の指針の動き、電動機のスイッチを入れた時の速度の変化、電気炉の供給電圧を変えたときの温度の変化など、日常生活にも色々な例があります。

応答特性のグラフ

 上図のステップ応答では、@のようにゆっくり応答をおこしてだんだんとおちつく形、Aのように目標の値を行き過ぎたりもどり過ぎたりしながらだんだんとおちつく形(減衰振動)などがあり、Bのように発散する応答を示すものもあります。
 @、Aのように十分時間がたてば、一定値におちつくものを自己平衡性があるといい、Bのようにいつまでたっても応答がおちつかないものを自己平衡性がないと言います。



周波数応答法

周波数応答法の説明図

 ある時間から振動的に交互に大きさが変化するような入力があります。たとえば、箱の中身に何が入っているのかな?と箱を振るときも振動的な入力を与えていることになりますし、バネで吊った物体の上下振動、未熟な人が自転車を運転しているときのハンドルの切り方のような入力の変化は三角関数のsinまたはcosであらわされます。この入力を正弦波入力(sinusoidal input)といい、正弦波入力による応答(出力)を周波数応答(frequency response)と言います。

周波数応答の説明グラフ

 平衡状態(安定した状態)にある制御対象に、振幅が一定な Asinωtなる正弦波入力を与えた場合の応答は、上図に示す@のように、はじめは多少乱れても、入力の正弦波に近いもの、Aのように発散するものがあります。このような正弦波入力に対する応答については、初期の過渡的な状態を無視して、ある程度時間がすぎた後の定常状態の波形に着目して理論的な解析を行います。


二次おくれ要素

二次おくれ要素の説明グラフ

 上図に示すように、制御対象からの応答,立ち上がりが遅くS字状の応答を描く性質のものを二次おくれ要素といいます。

水の流れにみる二次おくれ要素の説明図 抵抗(R)とキャパシタ(C)を用いた二次おくれ等価回路について

 二次おくれの性質を持つ要素の例としては、上図に示すような2つの容量をもつ制御対象や電気回路などがあげられます。さらに容量の数が多くなってもS字形となることには変わりなく、また遅れが一層目立つことになり、これを高次おくれ要素といいます。一般に温度の変化は、高次おくれとなって検出されます。
 二次おくれ、高次おくれはS字曲線の変曲点で接線を引き、これが時間軸と交わる点で、「むだ時間(L)」+「一次おくれ」の性質に近似して表すことができます。


むだ時間要素

染料を用いたむだ時間の説明図

上図のように、A点で染料(入力)を加えた時、その応答(出力)はB点では(AB/流速V)時間だけおくれ、その間は全然応答があらわれません。すなわち入力信号がある時間Lだけおくれて伝わるような要素をむだ時間要素(dead time element)といい、おくれ時間Lをむだ時間(dead time)といいます。

温度センサ位置によるむだ時間説明図

むだ時間は、操作を加える点と検出点がある程度へだっているような場合にあらわれます。むだ時間が大きいほど、制御結果はハンチングやオーバ−シュートを起こしやすく、温度制御では出来る限りむだ時間を小さくする必要があります。


熱容量

アイロンの熱容量とヒータ容量
1.ヒータ容量が同じで
アイロンが大きくなる場合
2.アイロンの熱容量は同じで
ヒータが大きくなる場合
A アイロンA D アイロンD
B アイロンB E アイロンE
C アイロンC F アイロンF


熱容量の違いによる温度上昇説明グラフ ヒータ容量の違いによる温度上昇説明グラフ
  熱容量の違い   ヒータ容量の違い

 一般に加熱制御の対象は、ヒータ自身とヒータが加熱する物の2つに分けられます。ヒータの加熱する力の度合いを表すのが「ヒータ容量」であり、ヒータが加熱する物の熱的な大きさを表すのが「熱容量」です。
上図ではアイロンの加熱体積(熱板の体積)の大きさが熱容量になります。
 ヒータ容量が同じで熱容量が大きいほど「一次おくれ」や「二次おくれ」の時定数は大きくなります。すなわち加熱応答が遅くなるわけです。


外 乱

 安定な状態にあるものを乱そうとする外的作用を外乱(disturbance)といいます。
 いま、一例として熱風によって一定温度に加熱する乾燥機を見てみましよう。この場合、弁を適当な開きにしておけば、一応温度を一定に保つという目的は達せられるはずです。しかし実際には、つぎにあげるような外乱が働いて温度を変化させます。

手動制御の乾燥機

<外乱の原因>

  1. 品物を出し入れするために扉をひらく。
  2. 乾燥機に入れる品物の温度・重量が変わる。
  3. 湿っていた品物がしだいに乾いてくる。
  4. 外気温度の変化によって乾燥機からの放熱量が変わる。
  5. 送風機から送り出される熱風の温度が変わる。 etc..


<外乱の改善>
 根本的には、前記の外的作用を取り除けば(外的作用を小さくする)良いわけですから、

  1. 運転中に扉の開閉はしない。(扉を小さくする)
  2. 洗濯物はよく脱水してから入れる。また、あまり一度に多量に入れない。
     (新しい材料などは予熱などして使用する)
  3. 熱風量を一定に保つ。(流量を制御する)
  4. ヒータ電源を一定に保つ。(定電圧にする)

 どうしても上記のようなことが出来ない場合は、以下の方法があります。

  1. 外乱の加わるタイミングが判る場合。
    例えば、扉を開く場合、予め熱風の流量を一時的に増加すれば、温度低下は防げます。
  2. 外乱の加わるタイミングが判らない場合。
    この場合は、温度調節計で熱風の流量をコントロールする必要があります。

比例制御について(暫定コンテンツ)

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